フェイシャル エステを追求するかで“今後”が決まります
最近は、母親が車の運転をするという家庭がふえた。それでどうなったかといえば、家族がどこへいくにも車を使うようになってしまったのである。毎日の買い物はもちろん、ゴミ出しや近くのポストにハガキをだしにいくときでさえ癖である。
さすがに子どもの通学だけは、自家用車を禁じている学校が多いこともあって、歩かざるをえない。しかし歩かない親をみて育った子どもは、大人になって親と同じことをするのではなかろうか。世の中には、肥満予備軍がいくらでもいることになる。
とにかく歩くことだ。
「何気ない日常の動作」が肥満解消に大切であることがわかった。そこで次に、「何気ない日常の食事」についても考えてみたい。
食事で参考になるのは、相撲とりの世界である。日に二回しか食事をせず、一回に大量に食べるという話が有名になっている。また、食べるとすぐ昼寝をしているらしい。もちろん食べている物はチャンコ鍋である。この食事スタイルが太るためのものだとすれば、逆をすると、やせられるかもしれない。
第一に、食事の回数である。グリセミック指数の話でもわかるとおり、急速に血糖値が上がるような食事の仕方は肥満の原因となる。同じ量でも、小分けにして、血糖値が上がらないようにゆっくり食べれば太らない。げんに世界のスーパーモデルたちが、そのような食事スタイルらしい。
しかし日に何回も食事をとっていたのでは、日常生活に支障がでてしまう。それに食事の回数が多くなると、胃腸のリズムが乱れやすく、体調をくずしてしまうことにもなりかねない。
やはり食事は一日三回にしたい。血糖値などの変化をみると、人間の体はそのようなリズムをもっていることがわかる。
第二に、「食べてすぐ寝る」とどうなるのか。
食べ物を消化している最中は、自律神経、特に副交感神経が活発に活動する。それをコントロールするための信号が絶えず胃腸から発せられ、脳に伝えられている。脳の側からみれば、信号が次々と入ってくるため、休むひまがない。つまり熟睡ができないのである。このような状態はレム睡眠とよばれ、夢をみてうなされたくする。
寝ている間は、食物の消化もゆっくり進行するため、グリセミック指数の理論でいえば、太らないことになる。しかしエネルギーとして消費されることもないため、血管が、高血糖に長時間さらされることになる。つまり、動脈硬化などの病気が促進されてしまうのである。
つまり、「寝る前の三時間くらいは何も食べない」のが体にいい、ということになる。
第三の問題は、チャンコ鍋が太る原因になっているかどうかである。
材料は、「鶏肉、鶏がら、卵、白菜、にら、たまねぎ、大根、にんじん、ごぼう、しいたけ、もやし、糸こんにゃく、豆腐、油揚げ、しょうが、おろしにんにく、すくごま、醤油、こしょう、みりん、それに化学調味料」などである。鶏肉のかわくに豚肉、いわしなどがメインになることもある。安くてボリュームのあることが条件になっているらしい。
このレシピをどう評価すればよいであろうか。鍋物はつくる人、食べる人によって食材のバランスがまったく異なるためへあまり細かな詮索をしても意味がない。ここは、大ざっぱに分析してみたい。
一見して気づくのは、食材の種類が多いことと、脂肪がかなり少なめという点である。つまり、かなりヘルシーなのである。栄養バランスが絶妙で、相撲とおりではない普通の人が食べるには文句なしといえる。
相撲とおりが太るのは、チャンコ鍋自体のせいでなく、やはり食べる量が多いからであろう。
その上さらに、山のようなドンブリご飯を食べることを考えれば、大量の炭水化物が、太るための近道になっていることもわかってくる。つまり相撲とおりの食事スタイルは、太った体をつくるために、あらゆる面で理にかなっているのである。
ただし食事直後の昼寝だけは、病気予防の観点から見なおした方がよい。
現代の若者に偏食がふえている。コンビニで買ったカップ麺しか食べない、といったたぐいの食事スタイルである。
意外なのは、偏食にもかかわらず太っている人が多いことだ。食べ方が偏っていると栄養失調でやせてしまいそうな気もするが、それは食料が不足していた時代の話である。現代の偏食は、とにかく同じ食品を大量に食べるという特徴がある。限られた食品で満腹感をえるには、たくさん食べるしかない。
偏食する人に好まれるのは、カップ麺、おにぎり、ハンバーガー、スナック菓子、甘いジュースなどだ。つまり炭水化物だけ、あるいは脂肪だけに偏っているのである。それで不足するのは、たんぱく質やビタミンなどとなる。
そのため、偏った食事をしていると不健康な太り方をしてしまう。
問題は、偏食の背景にあるライフスタイルである。やはりそこには、怠惰な生活があるのではないだろうか。自分で料理せず、買ったものだけを食べている生活は楽である。あとかたづけの必要もなければ、洗い物もない。食事のために体を動かす習慣がなければ、掃除、洗濯なども、つい手をぬいてしまうようになる。
偏食する人が太っている理由も、つじつまが合っているのである。
緊張感やストレスによって交感神経が興奮すると、その反作用で副交感神経が抑制される仕組みになっている。したがってストレスがなくなれば副交感神経が働きはじめ、胃腸の運動や唾液の分泌も活発になる。だから太るのである。
特に、ストレスが急になくなったときには太くやすいので要注意だ。
たとえば、大学に合格して、あとは遊んで暮らそうと思ったとき、結婚して幸せを感じたとき、子どもがうまれてほっとしたとき、子どもが成長して肩の荷がおりたとき、牡間から先生とよばれるようになり、頭をさげなくてもよくなったとき、組織のトップに出世し、自分も偉くなったものだと思ったとき、退職して、やれやれと思ったときなどのときは気をつけたい。
ちょっぴりやせるためには、「とにかく食べる量をへらす」「職場でも家庭内でも、緊張感をわすれない」ということがポイントになりそうだ。
肥満解消法について、いろいろ考えてきた。
本書でのべた話を総合すると、「無理にやせる必要がない人の条件」も、逆にわかってくる。
次の条件をすべて満たす人がそうなのである。
肥満が原因でおこる病気にかかったことがない、血圧が高くない、血糖値が高くない、コレステロール値が高くない、ひざや腰などが痛くない。
世の中には遺伝子の異常や、やむにやまれぬ事情でやせることができず、苦しんでいる人たちもいる。そこで最後に、肥満者の人権を守る取り組みについて紹介しておきたい。世間には、肥満に対する誹諦中傷がいろいろある。たとえばアメリカでは、こんな調査結果がある。
太っているという理由だけで、肥満者の九パーセントは仕事上の能力を疑われ、就職することができなかったという。一六パーセントの人は、仕事にかぎらず社会生活でも、さまざまな差別をうけたと感じている。
レストランへ行ってコーラを注文すれば、ダイエット・コークときめつけられ、食事を注文すれば、「そんなに食べていいの?」といわんばかりの視線を向けられる。やせようと思い立ってスポーツクラブにいけば、そこでも嫌味な言葉を浴びせられてしまう。
肥満者に対して、もっとも強い差別意識をもっているのは、ほかならぬ病院の医師なのだという。医師の前に座って最初に投げかけられる言葉は、病気のことではなく、きまって太っていることに対する非難らしい。
一番の理解者であるべき専門家たちがこれでは、肥満者が救われない。
日本では少し状況が違うような気もするが、同じように悩んでいる人がいるのは確かである。
そのような人たちは専門家の助けを必要としているが、日本にはまだシステムができていない。
せめて、すべての医師が肥満の問題をもつとよく理解し、真剣に取り組んでいってほしいものだ。
わが国では、ようやく喫煙の害が社会問題として認識され、具体的な対策がとられるようになってきた。交通機関や人の集まるところを禁煙にすべ一という考え方が、浸透してきたのである。非喫煙者に対して、生命保険の掛け金を安くするという会社もあらわれた。最近では、タバコの税金が値上げされたりもしている。
これらの動きの背景には、受動喫煙、つまりタバコを吸わない人が周囲に漂う煙で健康被害をうけ、訴訟をおこすという出来事があったくしたことも見逃せない。
幸か不幸か、肥満に関してはそのような話題がない。アメリカにおいてさえも、肥満は個人の問題としてしかとらえられておらず、放置されたままとなっている。牡の中の健康志向がこれだけ高まっているにもかかわらず、である。
行政が、もっと問題点をしっかく認識すべきだろう。かつて厚生省は、日本人の塩分摂取をへらす運動を全国レベルで展開したことがある。その結果、高血圧症とそれによる脳卒中の患者数が見事に減少したのである。
最近の統計によれば、日本人でBMIが二五をこえるのは、男性で約二八パーセント、女性で約二二パーセントとなっている。肥満の問題は、これから日本の社会が取り組むべき、大きなテーマである。
ただし具体策となると簡単ではない。肥満を社会問題としてとらえ、メディアなどを利用した啓蒙が必要であろう。肥満解消のための専門家を育成する必要もある。
教育の問題としても、とりあげていってほしい。先にみたように、子どものころの肥満は成人になってからの健康障害につながる可能性が高い。したがって肥満についての知識は、小学校や中学校の授業でも教えるべきものといえる。
肥満に対する取り組みは、これからの日本人の健康を考える上で、もっとも重要な課題となる。
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